「ゲーデル、エッシャー、バッハ」読書会ブログ

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第0回 キックオフ レポート

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「ゲーデル、エッシャー、バッハ」読書会 | Doorkeeper

主催者急病(肺炎)のため延期してしまっていましたが、本日2月27日、無事に第0回を始めることができました。

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(写真は共同開催者の次郎さんより。全部GEBです)

読書会を主催するのは今回が初めてで、見苦しい点が多くあったと思いますが、参加してくださった皆さんのご協力で、とても楽しいイベントになりました。

最初は、主催者2人を含めて3,4人しか集まらないかもしれない……と思っていました。ところが、蓋を開けてみれば、10名もの方々に参加して頂けました。

私自身はまだまだGEBの理解が甘いのですが、物語の道先案内人・面倒ごとを持ち込むメガネ君として、参加してくださった皆さんに本書を紹介する役目が果たせて嬉しいです。

今回の話題

第0回ということで、GEBの周辺をめぐりつつ、2016年現在の状況に通じた話題がたくさん上がりました。

その中でも特に、現実味を帯びてきた人工知能の出現と、それに社会がどう備えるべきか? 人間はどんな姿勢でそれを受け止めれば良いのか? そんなことが多く話されました。

以下、主に紹介頂いた書籍と一緒にコメントを残していきます。

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参加者Kさんの紹介です。技術が人間の制御を超えて動き出す世界について、雑誌「Wired」の初代編集長が執筆した書籍とのことです。

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こちらもKさんの紹介です。技術がブラックボックスになり、知識のない人間にはまさに魔法になる−−そういった時代が、アートの世界には既にやってきているようです。

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高校の同級生であるHくんの紹介です。また、ビブリオバトルでお世話になっているOさんも、以前バトルの場で紹介していました。 情報技術とともに、制御不能となる可能性があるテクノロジーとして挙げられるバイオテクノロジーが、既に市井の人々の手の届く場所に来ている、という本とのことです。

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共同主催の次郎さんが、バイオパンクの例として挙げた小説です。 音楽史をなぞっていくような構成とのことです。

こうしてみると、制御不能な情報技術 = 生命技術 = 生命体、という認識が浮かび上がるようで、興味深いと思いました。

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私の紹介本です。ロボットやAIにより人間の仕事が奪われていく世界を予想しています。 最後にはなんとか楽観的な視点を持とうと努めている本書ですが、人間が徐々に用済みになっていく前半の記述には、息を呑むような迫力があります。

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Oさんの紹介本です。異端の物理学者ロジャー・ペンローズによる、1980年代当時のAI論の批判です。ゲーデル不完全性定理の解説がとてもコンパクト(10Pほど?)にまとまっていて、分かりやすいとのことです。

「皇帝の新しい心」は、GEBに対する一種の返答とも言える書で、よく並べて読まれています。こちらも一般向けの本で、物理や数学の歴史・観点から著者の主張まで、ボトムアップに理解できるように述べられています。また、GEBと同じように、天才らしい飛躍に満ちている本でもあります。

私も10年ほど前に読んだ記憶がありますが、内容はだいぶ忘れています……。

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人工知能に興味を抱かれているEさんからの紹介です。 とても分かりやすい数学書・技術書を執筆されていることで定評のある結城浩先生の、「数学ガール」シリーズの1冊です。

おそらく、一般向けの不完全性定理の解説書としては最も読みやすく、かつ正確な書籍になっていると思います。読みやすい青春物語の形をしていますが、しっかり数式付きで、不完全性定理を解説しきっています。

なお、結城浩先生は、GEBを何度も繰り返し読まれているそうです。「これまでにもっとも繰り返し読んだ本」とのことです。

d.hatena.ne.jp

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同じくEさんの紹介です。「数学ガール」よりも本格派の、数学基礎論の入門書です。数式・論理式・証明図がたくさん出てきます。

不完全性定理からラムダ計算チューリングマシン超限帰納法・証明論・証明支援系まで視野に入れている本です。

読んでみた感じからいうと、これが一通り読めればGEBの理解はかなり早いと思われます。

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私の紹介本です。「不思議の国のアリス」で有名なルイス・キャロルが書いた論理・数学パズルの本です。

ルイス・キャロルは、本名がチャールズ・ドジソン、本職は数学講師で、その数学と論理学の知識が生かされた楽しい問題集になっています。

GEBの対話篇の元ネタとも言えます。

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パズル専門家であるMさんの紹介本です。

多くの著作のある数理論理学者による、タオイズムの解説書のようです。

GEBでは禅が多く取り上げられており、1980年代の論理学・AI論と東洋思想は不思議と相性が良いようです。

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Hくんの紹介本です。テクノロジーに対する恐怖よりも、それを積極的に使って自由を得ている人々(メイカー)の本です。

秋葉原の工房に通っているHくんらしい選書です。

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書籍ではありませんが、実はHくんはペッパーユーザーで、家に彼がいます。

まだまだAIというほどのものは実装されておらず、単純なルールベースで動作するのが精一杯のようです。

それでも、ペッパーを導入した企業の受付や介護施設など、ロボットがいる社会に向けての実験が進んでいるようです。

まとめ

基本的にはまだGEBに目を通していない前提でお話ししていたので、多くの話題に触れられたように思います。

GEBを読み始めると、意外にAIのことはあまり出てきません。数学や、それに含まれる形式システム、あるいは洒落やメタファや言葉遊びやイメージや示唆がGEBの大半を作り上げています。

おそらく、ダグラス・R・ホフスタッターがGEBで行おうとしたのは、単純なAI論を超えたより強い主張で、それは、我々自身による我々自身の理解に通じるものなのだと思います。

少なくともGEBを最後まで見てきた身として、ホフスタッターの直感・問題提起、そして信仰は、今でも色褪せずに有効なままとなっていると思います。

それこそが、GEBが長年読み継がれている理由の核心だと思います。

今回参加された皆さん、拙い主催にお付き合いいただき、ありがとうございました。

また、体調不良などで参加できなかった皆さんは、どうかお大事にお過ごし下さい。

(主催者自身が身を持って健康の大切さを主張してしまいました……)

次回は3/27(日)を予定しています。次は是非ともバッハの音楽を聴ける場所で開きたいと思います。場所と日時が確定しましたら、またご連絡します。

次回以降も、どうか遭難せずに、みんなで頂上を目指しましょう!

また、新たにGEBに興味を持った方は、途中参加や聴講も大歓迎ですので、下記からの登録・イベント参加をお願いします!

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